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3. 漢方薬、生薬そして民間薬とは  

広辞苑で「生薬」(しょうやく)を見ますと、“動植物の部分・細胞内容物・分泌物・抽出物あるいは鉱物で、そのまま薬品として用いあるいは製薬の原料とするもの”とあります。

あるがままの草根木皮−薬草のことと思えばよろしいでしょう。  漢方薬というのは、若干の例外はありますが、“二つ以上の生薬を患者の症状を軽くさせる目的で混ぜ合わしたもの、あるいはその混ぜ合わせたものを、煎じた液”(細谷英吉著「漢方の科学」による。細谷氏はもと慶応大学医学研究科科長。日本東洋医学会名誉会員。故人)をいいます。  

民間薬というのもあります。生薬、たとえばゲンノショウコ、ドクダミ、ハトムギ、センブリといったものを、医薬の専門家以外の人が、一つずつ、単独で使うものをいいます。  

私たちは、日常、上の三つをひっくるめてすべて漢方薬と呼んでいるようです。専門的にはこれをはっきりさせないと「話が混乱する」として、厳密にわけています。  

東洋医学の治療のひとつに「漢方薬を使用する」方法があることを前項に書きました。このような場合の漢方薬とは、二つ以上の生薬を、患者の症状にあったものを混ぜ合わせて煎じた液、あるいはそれを乾燥させたエキス剤などをいうのです。  

ここには、単に「混ぜ合わせる」*と書きましたが、実はこれが漢方薬の最大の特徴なのです。症状に合わせて「混ぜ合わせる」ことを、漢方では「方剤」といいますが、この「方剤」こそが数千年の経験によって積み上がられ、そして現在に引き継がれた漢方薬の神髄なのです。  

生薬の中にはそれ一つだけで効能をあらわすものがたくさんあります。ゲンノショウコなどは、一昔前、多くの家庭で日常良く口にした「くすり」です。ドクダミも良く使われました。  

それではなぜ、生薬を二つ以上混ぜて「漢方薬」を作るのかといいますと、混ぜることによって、その相互作用により、更に有効な、毒性の少ないくすりになるのです。数種、あるいは十数種の生薬を混ぜることにより、単独で煎じたときよりも、有効成分がより多く出てきて、ヒトの体内に吸収されやすくなるのです。そうすると効き目も早くなり、副作用も少なくなります。  

どのような症状には、どのような生薬を、どの分量で混ぜるのか、これが数千年の経験と知恵によって生まれた漢方薬なのです。    


*この「混ぜ方」は、漢方の「証−しょう」という考え方に基づいて行われます。漢方医学は「証」に始まって、「証」に終わるといいます。「証」は一つの哲学ともいえます。詳しく知りたい方は、巻末の「参考書」の中の一冊をご覧下さい。  


(註) この著作は、1999年に、石川洋一が栄養補助食品について、N出版社より出版した書籍の抜粋です。 最新の資料により全面的に改定いたしました。 (2008年4月 著者)