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第3章 東洋医学と漢方薬

1.東洋医学の基礎知識  

一般に、東洋医学といいますと、中国をはじめとして、韓国、日本、インド、イスラムなどを含む医学のことをいいますが、ここでは、中国医学と日本の漢方医学を含んだ範囲を東洋医学と呼びます。

なお、毛沢東以後の中国医学のことを中医学と呼んでいますが、この本は専門書ではないので、分かりやすく、すべて東洋医学という呼び名に統一していきます。  

なお、中国医学と日本の漢方医学との違いについてちょっと触れておきます。日本の漢方医学は約1000年くらい前に中国より伝わりました。

しかし、現代のかたちの漢方医学は15世紀末に田代三喜という人が10数年に及ぶ明での留学を終え、持ち帰ったのが始まりといわれます。もとは中国なのですが、日本では独自の漢方医学として発達していきます。  

日本漢方も中国医学も同じように考えている方が多いと思いますが、かなりの差があります。要点だけを述べておきます。  

日本漢方は、中国の医学理論は観念的であるとして、これに批判的です。日本漢方はあまり理屈をつけず、患者の症状によって生薬を処方するのです。症状イコール処方なのです。  

これに対し、中国医学では、症状が出た原因をまず考え、治療方針をたててから、その治療に有効な生薬を組み合わせていくのです。

中国医学は、その根本に、陰陽論と五行学説という哲学があります。この理論によって多くの医者達が臨床経験を積み重ねてきて、現代に至っています。ですから、日本漢方からいわせると、「観念的」だとなってしまうのです。  

また、実践的な問題では、日本漢方では腹診が重視されるのたいして、中国医学では脈診が重視されます。処方される生薬の量も中国は多くて日本は少ないといったこともあります。  

日本漢方は江戸時代は栄えたのですが、明治になり、西洋を目標として国家建設を目指した明治政府は1883年(明治16年)に医師になるための国家試験を西洋医学のみに限定しました。

医師になるためには西洋医学を勉強しなければならなくしたのです。漢方をやりたければ、西洋医学による国家試験を通ってからやりなさいと法律を変えてしまいました。この時より、日本の漢方医学は衰えていき、一部の人たちの医学になってしまったのです。  

さて、東洋医学にはどういう診療方法があるのかを説明しておきます。

1. 漢方薬による診療。生薬を処方してこれを患者に飲ませ、   病気を治すやりかたです。
2. 鍼灸(しんきゅう)による診療。はりを刺したり、お灸をすえて病を治すやりかたです。
3. 手技(しゅぎ)による診療。手で、もむ、さするなどして ”気”の流れを整えて病を治すやり方です。
4. 気功(きこう)による診療。呼吸法と、運動、そして心の働きにより身体の中の“気”の流れを整えることにより、病を治す方法です。
5. 食養(しょくよう)による診療。飲食物により病を治し   ます。病をなおすのに良い飲食物をとり、病を悪くする飲   食物をとらないようにして病を治します。   

医師は、上記の中から、自分の得意とする分野を選んで病を治すのです。


(註) この著作は、1999年に、石川洋一が栄養補助食品について、N出版社より出版した書籍の抜粋です。 最新の資料により全面的に改定いたしました。 (2008年4月 著者)